-まず、はじめに株式会社信光社について教えてください。
信光社は、創業以来、サファイアメーカーとして世界中に製品を供給してきました。国内の腕時計用サファイアカバーはほとんどが当社の製品です。単結晶育成技術をコアに、LED用サファイア基板や光ファイバー部品など様々なところで当社の製品が活躍しています。
-山本悠紀子のセミナーはどのようなきっかけで知りましたか?
山本悠紀子さん(以下、山本さん)とのおつき合いはかれこれ、もう半世紀になります。まだ学生の頃に、同じく学生だった山本さんにお会いしたのが最初です。そのときはそのまま疎遠になりましたが、山本さんが亡くなられた後、ご主人がやられていた、デール・カーネギー・トレーニング※1(以下、カーネギー)の日本における事業運営を引き継がれてから再会したのです。
実は、私は学生時代にカーネギーを受講していたのですが、改めて受講し直すこととなり、そこからが山本さんとの本格的におつき合いの始まりでした。
※デール・カーネギー・トレーニング…1912年に米国で発祥したコミュニケーションに関する
世界最大規模で運営されるセミナー。約80カ国、800万以上の受講生を輩出。
-どのような経緯でセミナーを受講したのですか?
大学卒業後、しばらくしてからアメリカで仕事をしていましたが、帰国して妻の父が経営する会社(信光社)で仕事をすることとなりました。ところが、当時社長だった義理の父とまったくそりが合わなかったのです。それまで外国人含め、10人以上の上司に仕えてきましたが、それなりにうまくやってきたのに、よりによって、身近なはずの義父が一番合わなかった(笑)。これには本当に参りました。気がつくと、会議で言い争っていることすらあり、周囲を相当ヒヤヒヤさせていたと思います。正直言って途方に暮れていました。
そこで、学生時代のカーネギーの先輩に相談したところ、だったら、カーネギーを学び直すのがいいということになり、また一から学び直すつもりで、トレーニングを再受講することとなったのです。
-再受講してみて、いかがだったでしょうか?
結局、自分が変わるしかない、とわかりました。そう肚をくくったら、不思議と義父との関係もなんとかやっていけるようになったのです。今振り返ってみると、アメリカでの仕事への自負や、手伝ってやっているような気もあり、少し思い上がっていたのでしょうね。再受講してそのことに気付いたわけです。カーネギーは英語クラスだったのですが、こちらは幸い、最優秀賞を頂けた。とにかく一番必死だったからでしょう(笑)。
このセミナーに2度も出会えたことは、本当にラッキーだったと思います。2回も自分を改善する機会を得られたわけですから。ですから、知り合いもたくさん勧誘して、20人くらい入れました。いい英会話の勉強になる、って言われましたが(笑)。
【写真①】当時のテキスト 【写真②】最優秀賞の盾
-その他にはどのような効果がありましたか?
私だけでなく、当社の社員もこれまで50人くらい派遣しましたが、今でのとても仕事がやりやすくなりました。しかし、最初からうまくいったわけではないのです。本当のことをいうと、最初は大失敗でした。
社長に就任した当時、まずは経営層から変えたいと思い、役員クラスをセミナーに派遣したのですが、これはうまく行きませんでした。(セミナーに)行っている間はその気になってくれるため、会社でも効果があるように見えたのですが、終わったとたん、元に戻ってしまって。考えてみればこれも仕方のないことだと後から気付きました。なぜなら、彼らの立場になると、自分から進んで会社でのコミュニケーションを工夫しなくても、周囲が気を使ってくれますから。要するにそういうことでした。
そこで今後はやり方を変えました。自分から積極的なコミュニケーションを工夫しなくてはならないメンバーを、職位に関係なく選抜して、セミナーに送り込んだのです。案の定、彼らはセミナーで学んだことを職場で実践し続けてくれましたから、ずいぶんと定着するようになりました。つまり、重要に合った選抜が功を奏したわけです。それからは社内の雰囲気も変わり、物事が進みやすくなりました。
例えば、今会社の前で準備しているクリスマスの飾り付けにしたって、私からは何も言っていないのですよ。彼らが自らやってくれている。休日に出勤してまでして。私としては、要望があればささやかに支援するくらいのものです。それだけで、どんどん進めてくれますから、なんともありがたいですね(笑)。
また、先日も “秋祭り”イベントを開催したのですが、その際には、横浜市栄区長など、日頃お世話になっている方々をお招きし、とても喜んで頂けました。これも、社内の女性社員を中心としたメンバーの運営によるものなのです。
そして、これがきっかけとなり、区長より、管理者向け講演を依頼されたのですが、私は秋祭りの女性社員たちを連れて行くこととしました。実際にイベントを取り仕切ったメンバーの口から直接、企画〜実行までの工夫や苦労を話してもらう方がわかりやすいと思ったのですが、これは大成功だったようです。区役所のある女性管理職は、うちのメンバーのプレゼンが始まったとたん、自分の課の女性職員を連れてきて、前のめりになって聞いていらっしゃいました。私が話すよりもよっぽど効果があったようです(笑)。
・栄区マネジメント研修にて~信光社の皆様との交流~
http://www.city.yokohama.lg.jp/sakae/sidemenu/sakaekunau/20111024150725.html
また不思議なことに、セミナーを受講している最中の社員ほど、仕事でも成果を出しやすいような気がします。研究の成果が出るなど。相性もいいのだと思いますが、なにより、ウチ社員の出来がいいのでしょう!社長として本当にありがたいことです(笑)。
-そう思えるのは、とてもすばらしいことですね。
実際、本当にそう思っているのです。私は自分の周りには自分より優秀な人たちで固めるようにしていますから。だいたい、私自身欠点ばかりなのに、他人の欠点についてどうこう言えるわけない。これはセミナーでも実感したことですが、部下や社員を持つということは、何かを教えるというよりも、実際は教わることの方がはるかに多い。このことこそが社長の役得ですよね。ですから、私は本当にラッキーなのです(笑)。
【写真⑦⑧】社員の方々と談笑する米澤社長(笑顔があふれる)
【写真⑨⑩】社員の方々と対話する米澤社長
-最後に、当社、山本への期待、要望をお聞かせください。
カーネギーは今でこそ、別の方が運営されていますが、山本さんがいなければ、今のカーネギーはないでしょう。これは確信を持って言えます。ここまでされたのは、想像を絶するご苦労があったことと思いますが、カーネギーにお世話になってきた私としては、出来る限り支援したいと思います。
また、私は中小企業団体の代表幹事をしていることから、女性経営者の集いに呼ばれることがありますが、彼女たちの感性の鋭さには脱帽することが多い。これには男が逆立ちしたってかなわないと思うことがあります。日本女性のすばらしさは世界に冠たるものです。失われた20年と言われる経済不況にしても、このような女性の力がうまく活かせなかったことも大きな要因だと考えています。日本で女性の力を活かすことの出来ない要因はさまざまでしょうが、ひとつには、見本となるような女性が少ないこともあると思います。
そう考えると、山本さんは女性経営者や、これから輝きたい女性たちのロールモデルとしては、最適なのではないでしょうか?
彼女のように、日本社会で世界規模の教育サービスを経営した経験を持つ女性は貴重な存在です。まだまだ男性優位が残る日本社会においては、女性経営者が最もお手本にしたいのではないかと思います。なぜなら、この辺について男性がいくら言っても説得力がないでしょう?男性はこの辺りの苦労をしていませんから。 ですから、女性リーダーを対象としたセミナーなども期待しています。女性の能力開発という観点では、日本はまだまだ遅れていますし、これから拓けていく市場でもありますから!
また、そのことが今の閉塞感のある日本を変えていく原動力になるとも思うのです。彼女の強みを活かして、ますます日本に貢献して頂きたいと思います!
−貴重なご意見、ありがとうございました!